緑蔭(納涼)サロン


2010年 緑蔭サロン       
8月7日 高輪和彊館

                      伊達正幸

恒例のクラブ夏の催し「緑蔭サロン」が、品川高輪和彊館にて開催された。大山昭典氏の司会により、開会宣言とプログラムの紹介があった。今年はお二人の噺家、「ちら志」師匠と「ひで坊」師匠をお招きし、食事懇親会の後、会場が寄席にかわり、出席会員とゲスト38名が高座に向かって着席した。

 最初の出し物は鹿鳴家ひで坊の「青菜」。立派な庭園をもつお屋敷の主人が、仕事を終えた庭師を「まあ一服」と、もてなす場面。「ご酒はおやりか?」 から始まって、つまみに鯉のあらいを淑やかに薦める。その品の良さにいちいち感心しながら、遠慮なく戴く庭師。鯉のあらいの下に敷いたかち氷を手でひょいとつまんで口に入れる、入れた後冷たくてほっぺを右に左にふくらまらませる。それをリアルに演じるひで坊の手と顔のしぐさ。思わず拍手喝采!
その庭師が長屋の我が家にもどって、弟子を客人に仕立てて、「奥や!」とやる。爆笑!

次にちら志師匠が幕開きを知らせる小鼓の音とともに登場。出し物は「へっつい幽霊」。しっかと客席を見回して、噺が始まる。旦那がふらりとある古道具屋の前を通る。 ふとそこに妙に気を引く竃(へっつい)がある。 交渉してこの竃を3円で買う。その夜中、この竃から幽霊が出る。その苦情に道具屋は1円50銭で買い戻す。別の客が3円で買う、また幽霊。1円50銭で買い戻す。 この売買で何度も儲けるが、幽霊のうわさが広がって古道具屋の商売が上がったりとなる。 それで路地の奥にすむ屈強威丈夫な熊さんにわけを話して、この竃を買ってもらう。 さあ、そこから、本当に幽霊が出てきて身の上話となる。ばくちで儲けた金30円をこの竃に埋め込んだまま死んだので、閻魔大王に渡す金がない。熊さんに取出してほしい、と頼む。 熊さんも只者ではない。 ばくち好きの幽霊と賭けをして全部巻き上げる。幽霊が「お願い!」と頼む。 熊さん、「俺は賭けはしない」 幽霊、「俺は脚を出さねえよ!」ちら志師匠が幽霊となって賽を振る手と、身体全体の迫真のしぐさは、もう哀愁を超えておかしさいっぱい! ここでも思わず拍手喝さい!
 お二人の真打並みの芸に全員が酔いしれた。

 ここに、お二人のご紹介を採録致します。

鹿鳴家ちら志
このたび落語をやります山田(ちら志)です。
平成16年に鮨店を閉店、キャナリー落語教室に入り、
まず(からぬけ、豆や、浮世床、湯屋番時そば、
家見舞い、掛取り、粗忽の釘、禁酒番屋、転宅、
へっつい幽霊、)が持ちネタです。

鹿鳴家ひで坊
東京生まれ、東京育ち67歳。
サラリーマンを卒業後、3年前の正月 インターネットで、
北千住の落語教室をみつけ、思い切って入会した。
発表会では「絶句」 も経験しましたが、脳の老化防止には最適。
今では私の一番の生きがいです。

落語一筋とお話しのちらし師匠は、つねに‘発声練習’が大切と、一日3ネタを自宅で奥さんを客に仕立てて、日課とされているとのことです。ひで坊師匠は、キャリア3年半ですが、半年に一つのネタを仕上げてこられています。これまでに7つのネタをお持ちですが、最初は登場人物の少ない噺→少し人数の出る噺(男)→おかみさんの出る噺→泥棒の噺とやり、それからは自分の好きな噺をやらせてもらっています、とのこと。 お好きな演題は今回の「青菜」「替り目」「厩火事」「道具屋」なんかが好きですね、とのことです。    
                                   



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