テーマ
語尾には敏感になろう。
人間の言動や感情を表現する場合、多くが動詞です。日本語では動詞が語尾にやってきます。語尾の変化のつけ方ひとつで、作品の優劣にも大きく影響されます。
@体言止めは味付けの無い文章になり、素材・情報だけの提供です。
*危険だ、と彼は背を丸めた姿勢。 →危険だ、と彼は背を丸めて身構えた。
*私は姉と妹の三人兄弟。 → 私は姉と妹の三人兄弟で仲がよかった。
*話の途中で、彼は相づちばかり。 → 話の途中で、彼はうなづきばかりで、心の中がわからない。
A感嘆符は語尾が書き切れない、中途半端で未熟な表現です。
*船を発見! → 船を発見したぞ。
*オゾン層を破壊 → オゾン層を破壊させてしまった。
B推理、推測、予測、疑問は積極的に取り入れましょう。読み手の頭脳を刺激します。
*彼は迷っていた。 → 彼は迷っているのだろう。
*便利な機能がついている。→便利な機能がついているらしい。
私は彼を沈黙させる。 →私は彼を沈黙させられるはずだ。
C時間の経過に幅が出る、語尾の技法を身につけましょう。
*この家は代々続いた。 → この家は代々続いてきた。
*彼は遅れた。 → 彼は遅れていた。
*私は自分の言葉に酔った。 → 私は自分の言葉に酔ってしまった。
D紋切り型の語尾から脱却し、センテンスごとに語尾には変化をつけましょう。
従来の電話は顔が見えない。声の相手は美人かブスかも想像でしかなかった。女性は胡坐をかいて見合い話すらできる。
TV電話となると、姿勢も正し、正座すらしてしまう。
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8月の夏休みも明けて、参加者は15名となりました。
各作品の講評は皆さんの活発な発言があり、また作者の
意見も踏まえてから、先生の高評をお願いしました。
「50号記念誌」350頁は二上さんの編集で完成し、
皆さんに配布されました。 |
第五十一回 |
7月1日(金)参加者16名 |
テーマ
人物の上手な描き方。主役と脇役について
上質なエッセイは、読者に印象深く、永く心に残るものです、主人公「私」に「人間らしさ」を感じ、「人間って、こういうところがあるよな」と言わしめるものです。つまり、作品の優劣は、人物の描き方で決まります。
人間はいかように書くか。千差万別で、特別な鉄則やルールはありません。ただ、技法としては、主役と脇役を明確に特徴づけると、作品が際立ってよくなります。
一般的に、まわり(脇役)の人物のほうが楽に、客観的に書けます。「私」は思いのほか書けないものです。結果として、脇役が良く書けているが、「私」が書けていない作品が生まれてしまいます。
なぜ、「私」が書きにくいのか
@「私」は自分の顔の表情を直接見られない。表情が描けない。
A「私」はいつも自分と繋がっているから、新鮮な感動、新たな発見がない
B「私」は常に善で、悪い人ではない。
技法として、主役を引き立てる書き方
@ 登場人物を絞り込む。人数が多くなると、主役「私」が目立たなくなる。
A 「私」は全対比で、7割以上の枚数で書き込む。脇役の枚数は述べで3枚以内で、少なめに抑える。
B 脇役には、意見の違い、立場の違い、突飛な意見を出す、など、対比法で登場させる。似たような脇役や同一意見の人を並べると、平板になる。
C 「私」には裏表がある。その両面を描く。白黒がつけられない、心の揺れ、悶々とした心理を書いていく。
D 作中に、「私」の考え方、生き方、哲学をできるだけ挿入する。
E ストーリー展開で、「私」をなんらかのかたちで、「私を成長」させる。事実の列記だけで、成長がないと、単調で厚みがない作品になる。
F 相手に、「私」の性格を言わせる。容姿を語らせる。
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新しいステップの51回は16名の参加でスタートしました。
節目の「50号記念誌」は二上さんの編集が進行中です。
夏休み明け9月の発行が待たれます。
第一回から常連の塩地さんは、ご都合で暫し休会となりました。 |
第五十回 |
6月3日(金)参加者18名 |
テーマ
基本と応用のポイント
エッセイ教室は、50回という節目にきました。より良いエッセイを書く「基本」と「応用」のポイントを確認しましょう。
エッセイが上達する最善の方法として
@ 数多くのエッセイを読む「読んで、読んで、読みまくれ」
A 数多く書く「書いて、書いて、書きまくれ」
B いい読み手をみつけよう
素材か文体か
@ 素材は人生の一断面を切り取って見せるもの。結論は要らない。
A 文体は密度で決まる。圧縮と省略がよくできている。
・圧縮は、文章の冗漫なところを圧縮する。文章のぜい肉を除去する
・省略は、重複している文、削っても文脈が傷まないところを刈り取る
求心力と遠心力
@テーマを絞り込み、時間を止める=求心力(立体感と、奥行きがある)
A材料を多く入れ、時間の経過が早い=遠心力(平板で、深みがない)
構成力(ストーリー)で読ませる
@書き出しは重要。最初の数行は切って捨ててみる。
A結末は読後感と評価になる。ラスト一行で、テーマの言葉を入れてみる
読みやすい文章
@ センテンスは平均43字以内にする
A 文章の老齢化を防ぐ。句読点は多めにする。
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50回目の一つの節目を迎え、史上初、オールメンバー18名の参加となった。
提出作品に対する寸評にも熱が入り、自然に発言も多くなったが、
名司会により、時間きっちりに終えることができた。
50回記念誌の原稿が事務局に集ってきた。これから編集の二上さんに
バトンタッチする。 |
第四十九回 |
5月10日(火)参加者15名 |
テーマ
距離感について
作品批評の一つに、「距離感」が使われます。
大災害を体験したり、大事件に遭遇したり、身内の不慮の死に直面したり。そのまま状況を書くと、作者の想いが空回りし、体験的にただ説明された、「距離感がない作品」になってしまいます。
作者が対象を客観的に捉え、描写力豊かに作品を展開すれば、「距離感が取れた作品」となります。
「うまい文章だな、的確に言い当てているな」「上手に描いているな」「この作者にしか書けない表現(描写)だな」と高く評価されます。
TV映像には災害の迫力があり、新聞記事には掘下げがあります。
エッセイの強みは何でしょうか。「災害時の人間を描く」強みがあります。それには行動よりも心理、説明文よりも描写文で書くことです。
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先月の教室が休みでしたので、5月の教室は久しぶりの顔合わせになりました。笑い声がたくさん聞かれました。仲間に会うと元気が出ます。
教室開催は、6月で50回になります。作品を50回記念誌にすることしました。そろそろ準備にとりかかります。 |
第四十八回 |
3月4日(金)参加者17名 |
テーマ
マンネリの解消法
作品のマンネリズムは、筆力、創作技術が高まると起こる現象。作品の素材を日常にだけを求めると、平板で切れ味悪く、単調な作品になる。上手にはまとめているが、作品に光った部分が出てこない。ただ書いているだけのマンネリズム現象に陥る。
人生を歩む過程で、失意、落胆、失恋、苦悶、離別、死別、コンプレックスなどに、強く影響されたときがある。これら「心の負の世界」に素材を求めるかぎり、創作のマンネリズムに陥ることは少ない。
書くことが苦しくて、辛くて、泣きたくなる。その勇気からいつしか逃げている。小手先だけで、エッセイを仕上げよう、書こうとしているからマンネリズムが起きる。「心の負の世界」「心の痛み」に、もう一度チャレンジする。自分の醜さ、狡さ、隠蔽に立ち向かう。その勇気を呼び起こせば、創作のマンネリズムから解消される。
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17名の参加。先月欠席の森田世話人は、腰痛をおして、気合の出席でした。
冒頭、講師のHP「穗高健一ワールド」で、当エッセイ教室を取り上げている、という話がありました。
『脳の活性化はここにあり』(実年齢と脳細胞の若さとは正比例しない)
※エッセイ創作で細胞は常に新しさを求めている。
※刺激を与えれば、いつまでも若さと柔軟性を保てる
作品を完成させることは、ボケ防止の一助となります。 |
第四十七回 |
2月4日(金)参加者16名 |
テーマ
作品の創作・仕上げ方は、三段階法で行う。
初稿
(第1段階)は、エッセイ素材を決めたら、作者のスタイル(個性)で書く。
最後まで書き切れば、出来ばえなど問題はありません。
2稿(第2段階)として、書き上げた作品は読み直し、全体を整える
@ 構成を組み替える。最も重要なもの(力点)は結末近くに持っていく。
A 力点は、前段階で伏線を加筆する。
B テーマの統一を図る。テーマに無関係な描写や説明は外していく。
C タイトルを見直す。結末との整合性も行う。
3稿(第3段階)が作品の精度を高める。
@ 数日間は作品を寝させる。
A 冗長なところは削除し、回りくどい表現は短くする(刈り込む)。
植木の職人の気質で。
B 一字一句のチェック、修飾、類語など置き換えなどで、仕上げる。
C 最後は大きな声を出して読み上げる。ちょっとでも、読み停まれば、それは文章に難があるところです。
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第47回、16名の参加でしたが、残念ながら元気印の森田世話人が体調不都合で欠席。参加者は演習にも慣れ、声を上げ自分の作品(200字以内)を発表しました。また、お仲間の作品講評も簡潔で分かり易くなって来ました。 |
第四十六回 |
1月7日(金)参加者17名 |
テーマ
句読点の打ち方
句読点(くとうてん)は、作者の呼吸であり、文章のリズムをつくる重要なものです。読者の側に立てば、読みやすさ、スピード、文意の誤解を避けてくれます。
句点は平均して45文字ていどが、最も読みやすく、読者の理解をスムーズに運んでいきます。ゆっくり落ち着いた場面(茶室の情景など)ではやや長めに、忙しく行動する場面(追う、逃げる)では短めに連続させる。状況変化で使い分けもできます。
読点(、)は読者の立場から、文脈を考え、わかりやすい文章につなげていくものです。平均的に15字前後が読みやすい文章になります。
読点の打ち方は創意工夫で、文体(個性)を作ることにもつながります。
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12月の冬休みが明けて、新年度の初回教室です。当日は寒くなるという予報でしたが、元気印の17名が集り、年頭の挨拶もそこそこに、講義のあと、提出作品の寸評に入りました。
アフターは新年会です。笑いいっぱいの楽しい会になりました。 |