第134回 |
11月25日(月)参加者11名 |
≪講義内容≫ 1.冒頭のご指導内容
・手帳などに、興味がわいたことや気の付いたことなどを、こまめに書く癖を
つける。(→ エッセイのネタとして作品を仕上げる)
・副詞(実に、やたらに、さぞかし 等)を効果的に用いる(副詞の研究)。
(→ 味のある文章になる。ただし、入れすぎはダメ。駄作となってしまう)
2.作品に対する主要な指導ポイント
・文体は個性(作品を読めば作者がわかる)。エッセイには重要なアイテムだ。
作品【富士山】
・心理描写のあとに行動がついてくる。この心理描写のうまさが読み手を
引きずりこむ。作品【スマホ】
・構成のポイントとして、知らない情報を読み手に教えてから、皆が良く知って
いる内容にする。作品【感動と興奮の44日間】
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事務局から
・来月12月は休講。
・11月で、131回~134回と4回分の作品ができています。記念誌FMTを用いた
140回記念誌掲載用の作品に仕上げ、来月末までに幹事宛て送付してください。
・初回から幹事役を勤めていただいた森田さんが、今月でお辞めになりました。
永い間のご尽力に感謝致します。今後は、筒井・廣川の二名が幹事を担当
しますのでよろしくお願いします。
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第133回 |
10月28日(月)参加者11名 |
≪講義内容≫ 1.作品に対する主要な指導ポイント
・イントロに神話を書かない。日本人はあまり神話に興味を示さないので、
入れるならカットバックの形がよい。 【エイギナ島】
・極小の身体的な異変に対しても、気に留め観察することで、長い年月の
経過をエッセイ作品に仕上る。日頃から観察する気持ちを持つことが大事。
【身体のバランス】
・目線をグッと下げている作品なので、読者に優しい作品になっている。
(いつも言っていることだが、目線を下げることが重要) 【トランスファー】
・漢字が多いと読者は読まない。ある程度「ひらがな」で書くこと。
本人の仕事がよくわかるうまい作品。読者層を考えて作品を仕上げることも
重要。(この作品を建築・土木関係誌などに掲載したら好評を博す) 【管路会】
・作品の主題に関することで、唐突な感じで後半に入れると、読み手を戸惑わ
せる。伏線として最初の方に入れておくことが大事。 【まだ若さを保っている】
・新しいこと・勉強になること に出会えることもエッセイの良さ。 【虚仮の一念】
・「今年」「最寄り駅」の表現では読者を悩ませる。年代はいつだろうか、駅とは
何 駅なのだろうかとなる。できるだけ具体的な表記とした方がよい。
講師の穂高健一先生が出版されました。
『安政維新』(阿部正弘) 穂高健一著 南々社
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事務局から
エッセイ教室開講以来(第1回~134回)、幹事としてご苦労いただいた森田さん
が、11月でお辞めになることとなりました。永い間、本当にお世話になりました。
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第132回 |
9月11日(水)参加者9名 |
≪講義内容≫ 1.エッセイを書く・読む ことの効能
(1)毎月エッセイ作品を書く(提出する)人と、書く必要のない普通の人との差
<次何を書こう>vs<今日何をしよう> ⇒ 作品を書くために、ネタを普段
から探そうとする努力が、作者の「社会・自然を観察する目」を養う。
漫然と生きる人と比べるとその差は大きく、人生が変わってくる。
(2)経験の中で感じたこと、思ったことを作品に残す ⇒ 自分史を将来に残せる。
(3)他人の目を通したエッセイ(人生など)を読むことで、自分では気づかなかった
ことに気づかされる(視野が広くなる・感性が豊かになる)
2.今回の各作品でのポイント(ご指摘内容)
【同志】
・書き方に文才あり。言い換えると、自己表現力・心理描写に優れている。
自分に怒ったり、亡き夫を偲んだりしている割にケロっとしている。
⇒ 意識することで、こういった表現力が身に付いていく。
【良い歳になってきた】
・タイトルで、「良い歳」は作者の年齢が不詳なので適当とは思えない。なるべく普
遍性のある言葉にするとよい(例えば「気取り」など)。
・また、「衝動的」のような「的」は使わない。「思わず」などの言葉で置き換える。
【最後の海外二人旅(2)】
・夫婦の機微を描く内容だから、団体旅行ではなく、二人旅の視点で描くと良い。
・「愛のベンチ」に関しては、最初から説明文で入らず、さらっと言葉を出してから、
会話文などで読み手に知らしめる方が良い。
【ダイエット】 <作品を読ませる技術として>
①ある一点に絞って深堀りすることで「人間」に辿りつく(深耕化)。
②人間の恥部をチラッと見せることで読み手を引きずりこむ。
※『張作霖を殺した男 の実像』 桑田冨三子 文藝春秋
メンバーの桑田冨三子さんが出版しました。
※『エッセイ教室130回記念誌』
会員の作品集です。1年間の作品をすべて載せています。
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事務局から
・今月は3冊の本が出版されました。エッセイ教室としてはうれしいことです。
・メンバーの桑田冨三子さんの著作について、穂高先生から、人間の描写、
読み手の引きずりこみ方、歴史本にも関わらず筆者が出ているなど、
教室で培った才能を遺憾なく発揮しており、読む価値ありと話されました。
・穂高先生の歴史本については、興味ある所から読み始めてよい、との
アドバイスがありました。
・教室のメンバーの作品集は、1年間の努力が形になったものです。
みなさん、がんばりましたね!
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第131回 |
7月30日(火)参加者11名 |
≪講義内容≫
1.今回作品全体を通して気づいた点
(1)作品の最後の1,2行は説明文としない。
⇒ 作者の能書きは不要であり、作品の質を貶める。
(2)最初のリード文で、誤った先入観を読み手に持たせてしまった作品が
目についた。
⇒リード文で作者が抱く内容と、作品の内容がアンマッチだと、それだけで
読まれなくなる。 (リード文は重要なので、次回教室で要諦を話したい)
2.今回の各作品でのポイント(指摘内容)
(1) 【最後の海外二人旅】二人(夫婦)旅がタイトルだが、夫の姿が作品の中で
見えない。 会話文で夫の姿・考え方を見せることが大事。内容は短文で
読みやすい。主語は、全体で2,3個入れるのが妥当。最も入れたい文に
置く。
(2) 【替え指】エッセイは、すべての読み手を対象にするとは限らない。楽器を
やっている人だけを対象としても、良いエッセイ作品たりうる。本作品も
その類い。また、替え指を使った、その瞬間の心情を描くとグッと臨場感が
出る。
(3) 【外国人と体操】体操などの描写は難しい。うまく描くためには、具体的な
部位(腕・足・手先 等)に焦点を当てた方が、読み手にその情景が伝わる。
(4) 【忘れられない影絵】旅行記などは、(実際は多人数であっても)一人旅と
して旅情を描く方が良いときがある。読み手に情景が伝わりやすい。
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事務局から
・来月(8月)はお休みです。
・130回記念誌の希望冊数を早めに申し込んでください。
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第130回 |
6月24日(月)参加者11名 |
≪講義内容≫
1.「過去の処し方」について
(1)エッセイも含め、どのようなジャンルでも、人間の生き方を描くもの。
出来事・事件・事故・行事など、何かしらの事象に対してどのような過去と
繋がっているか。その中で、性格・考え方・経験/体験で を織込むことで、
作品に深みが出てくる。
その過去の入れ方として、①小過去、②中過去、③大過去 として、
バランスよく作品の中におりこむことで、作品の完成度が高まる。
①小過去
直前の行動~数時間前の出来事。今時点の行動なり判断なりの、ここに
及んだ事情などを、読ませる。描写文で処すと、リアルな作品となる。
・なぜ遅刻してしまったのか ・見失った原因 ・怒り、悲しみ、歓びの理由。
②中過去
一ヶ月~2,3年位前の出来事。出来事の背景となるもの。脇役の語りで
入れる方法もある。
・影響を受けた人を想いだす ・心の傷を回顧する ・類似的な事象を蘇らせる
③大過去
人間の性格描写に関わるもの。生まれ育った家庭環境、学生時代、
人生に影響した過去の出来事。生きる哲学、信念・主義、それらが育って
きたエピソードを挿入する。人間愛に中心をおいた内容が望ましい。
2.「今回作品」でのポイント(指摘内容)
(1)街中で拾った小さな素材も大きなネタなる。拾うことの大事さを胸に
叩き込む。本人の感性が大きな役割を果たす。感性を磨くことが大事。
(←「文化財」)
(2)本人の土俵を(orで)書くと良い作品となる。(←「ビール讃歌」)
(3)〈紀行文〉残念な(or良かった)点から、自分の性格をさらけ出す。沈下橋が
沈んでいるところを見ることができなかった→このときの「自分」を描く
(←「土佐日記」)
※「俳句」の挿入・・・入れる必然性を感じない。余り推奨しない。 |
事務局から
『エッセイ教室130回記念誌』掲載分は、今回(130回)までです。
今週中(~6月28日)に記念誌FMTに入れて、事務局に送ってください。
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第129回 |
5月27日(月)参加者10名 |
≪講義内容≫
1.推敲について
(1)推敲とは、文章を「削る」「磨く」に極まる。
①ダイヤも原石では無価値に等しい。
「削って削って磨きぬく」ことで価値を生む。
②削ること
・一文は45文字程度が良い。長文になるほど、主語述語に瑕疵ができる。
・初稿ができたら、必ず音読をする。それによって文章の疵が見つかる。
・庭師になれ。大きくバサッと削ることが大事。それが職人芸(=作家)。
・増やすタイプの推敲は失敗多し。多く書いて枝葉末節を削り込む。
・削る中で、テーマが浮き上がってくる。テーマにそぐわない部分を
徹底して削る。
③磨くこと
・読者の目になって読むこと。人物像や情景それに文意が伝わるかを
考える。
・人物像や情景を読み手に伝えるためには、五感を駆使した文章にする。
(例えば、夏→暑い暑い、ではダメ。汗・匂いなどの五感で描写する)
・テーマとする内容が、最後に唐突に出てくるような感じがないか注意する。 そうならないためには、前段で「伏線」を張ることが大事。
2.「今回作品」でのポイント(ご指摘内容)
(1)通常の改元は、天皇崩御や災害(火事・飢饉等)でのもののため、
総じて暗いイメージが伴う。しかし、今回の「令和」は全く違った。
これをテーマに取り上げた点は高く評価できる。時宜にかなった
良いセンス。
(2)これまでも指導してきたが、エッセイは人生の断面を見せるもの。
3年→3行、3ヶ月→3ページ、30分→300ページ
(3)疑問文を入れたら、必ず「答え(らしきもの)」を後述する。読み手が
消化不良となる。
(4)会話形式の良い点
・賞賛する何かをテーマとしたエッセイの場合、直截的に吐露すると、
自画自賛になり易い。会話形式を用いれば、客観的臨場感を
読み手にもたせる事ができる。
・淡々と人物評を書く場合にも、会話形式が有用。人物が容易に
立ち上がる。
・時間的なカットバックにも、有用。ひと言で戻ることができる。
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事務局から
・『エッセイ教室130回記念誌』に掲載される作品は、あと1回のみとなりました。
推敲作品を速やかに提出してください。
・『元氣に百歳』20号の原稿も早めに送ってください。締め切り日は5月末日です。
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第128回 |
4月22日(月)参加者8名 |
≪講義内容≫ 1.「絞り込み」に関する今回作品の評価
(1)テーマ 今回作品では、全体的にテーマの絞り込みがうまくいっている。
皆さんの実力の高さが作品に反映されている。
(2)時間軸 作品中の時代感覚をうまく表現できている。例えば、
・30代vs60代、・ライフサイクルの中でのファッションの変遷 など。
(3)場所 「目黒川」や「我が家の庭」等で場所のイメージをすんなりと
読み手に思い描かせている。これは、成功例と思う。
2.作品の中での指導内容(主なもののみ)
(1)冒頭から説明文で入らないように。描写文から入り、冒頭の説明文に
ついては、会話を挿入することで、読み手に分からせるようにするのが
テクニック。
(2)情景描写に終始すると、盛り上がりに欠ける。やはりエッセイは「人」を
描くもの。
花見の客についての描写、例えばファッション、年齢層などを対比的に
挿入することで、作品の中に盛り上がりが出てくる。
(3)対語についての勉強は、言葉の使い方をより深くさせる。意識しておく
ことが大切だ。
(4)淡々と優雅な一日を作品にしている。これは、今回の中では最も随筆
らしい内容だが、少し単調すぎるきらいがある。やはり「人(=自分)」の
悩みをほんの少し入れることで、読み手にも一緒に考えさせるようになり、
より作品力が高まる。
(5)地理的な方角(東西南北)を入れての説明はしない方が良い。読み手が
困惑することになる
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事務局から
・今回は8名の参加。少人数だったこともあり、賑わいある教室となった。
二次会は、「魚屋一丁」。いつも通り生ビールに加えワインなどを嗜む。
メンバーの石川さんから「つくしんぼ」の佃煮が小瓶で六つ。先回戴いていない
人が土産にさせてもらった。
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第127回 |
3月25日(月)参加者12名 |
≪講義内容≫
1.主題の絞込みについて
どのように、主題を絞り込むかについては基本的な考え方がある。
大きく捉えると、時間的な絞込みは難しい。それよりも、場所や物に
置く方が、解り易く展開もしやすい。今回の作品でいえば、
①永らく整理できなかった部屋→その中の茶色のカギの掛かった
カバンの中身
②書道教室→習っている子供たちの動き・眼差し・態度(底辺に
「子供への愛情」)
③庭の情景→樹木の描写(より具体的になり、その情景が目に浮かぶ)
2.「言いたいことはこれだ」的な展開もあるが、エッセイには「気の置けない
仲間」的なものもある。よく言われることだが、「人間って、そういう
ところがあるよな」と共感をよぶ内容の作品は優れた作品と評される。
絵画の「スケッチ」を思い起こしてほしい。バチっと完成させた絵は、
それなりに優れた絵画なのだろうが、ほんわりと温かみのあるスケッチは、
人を暖かくしてくれる。
エッセイも同じで、スケッチ的なうまい情景描写などは、明確な主題がない
かもしれないが、人をゆったりした気持ちにさせる。エッセイにも、そういう
描写の中に人間的な内面がくみ取れるようになれば、一流だと思う。
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事務局から
・今回は12名の参加でした。毎回ですが、なかなか楽しい評論がでて、
この教室らしい、和気あいあいとした雰囲気になりました。
二次会は、「魚や一丁」。生ビールに加え、今回はボトルワインを赤白1本ずつ
空ける、にぎやかな宴となりました。
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第126回 |
2月25日(月)参加者12名 |
毎回冒頭の30分は、西原先生の講義があるが、今回は、先般先生が
広島RCC中国放送に出演されたインタビューの録音を、全員で聴いた。
・テーマ:先生の著書『広島藩の志士』について
・放送日:2019年2月23日(土)
・番 組:一文字弥太郎の週末ナチュラリスト朝ナマ「深堀シャベル」
(毎週土曜日の朝に、好評放送中の番組)
≪講義内容≫
・エッセイの書き出しは、きわめて重要である。細心の配慮が求められる。
・書き出しは、説明から入らない。説明はカットバックで入れる。先ず数行の
情景文から入る。
・「・・・こと」「・・・のような」は、全部外すのが基本。
・一日一行でも文章を書かないと、三日遅れる。毎日書く、そして書けるときに
書いておく。
・アマチュアは、作品の優劣が大きい。プロは平均している。アマチュアと
プロとの違いは、そこにある。
≪今回の作品についての意見交換≫
・テーマ、登場人物など、盛り込みすぎの作品がある。
・一方、登場人物が限られていると読みやすい。孫もリード文にうまく使い
込まれると、邪魔にならない。
・映画をテーマにした作品があるが、観た人と、観ていない人との
受け取り方が違ってくる。そのあたりの配慮が必要。
・五感をうまく使うように、という指導を受けてきたが、なかなか使いにくい
臭覚を、上手に使った作品がある。
・センテンスが短く、読点が多いと、文章が読みやすく、好感が持てる。
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事務局から
・「120回記念誌」の編集に取り掛かっています。再度のお願いですが、
121回~126回までの推敲作品を、早めに事務局に送ってください。
・「クラブだより」に、サロン紹介の欄があります。エッセイ教室では、メンバーに
交代で、原稿を書いてもらっています。順番が来たときはよろしくお願いします。
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第125回 |
1月29日(火)参加者10名 |
今回は10名。前回同様、最初に先生から、各人の添削版を渡された。これはこれで、各人の自己評価に重さを与るものとなったが、参考になる「先生の評価」が伝わらないようにも思えた。各人の意見を聞いてみたい。
≪講義内容≫
1.エッセイには次のような効能がある。
①自分を見つめなおす機会(自分という人間はどんな人間だろうか?)
②学ぶ機会を与えてくれる(=読み手に知識を与える)
③エッセイで記した「これからは、・・・をしよう」に自分を駆り立てる。
逆に言うと、この三つがテーマの根幹。
2.エッセイの要諦
⑴ 作品には、若い作品と、年寄り臭い作品がある。志賀直哉は、「若い作品と感じさせるのは、文章のリズム感だ」と言っている。それには、
①文章の長さでリズム感を出す。これは、間の取り方、言い直すと、
句点・読点 の入れ方が重要。長く冗長な文章にはしないこと。
(接続詞には必ず読点 など)
②声に出して読む(できるだけ大きな声で、そして耳で聴く)
重要なことは、最後の文章(段落)を何回も充分に読む。ここが
すんなりと読めることは、テーマがしっかりしているという事
(=良い作品と言える)。 次に、最初から読んで違和感の
ないこと。あれば、推敲を重ねるべし。
⑵作品の中でのご指摘事項
①「美」の文字は使わない(小学生でも書ける。自分の表現にすること)
②「である」は読み手に“押し付け“感を与える。なるべく、別の言葉に
置き換える。
③「宗教」的な言葉、決め事などは書かない。読み手には、色々な
宗教の人がいる。
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事務局から
再度のお願いです。『130回記念誌』の制作にとりかかっています。
推敲の終わった原稿(121回~125回)を、記念誌用フォーマットに入れて、
事務局に送ってください。
2月の教室は25日-月曜日です。
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